エイデン

悪人伝のエイデンのレビュー・感想・評価

悪人伝(2018年製作の映画)
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2005年8月、韓国チョナン市
この街では昨年から、多くの殺人や失踪事件がチュンチョンナムドを中心に発生しており、今日もまた新たな殺人事件の報道がなされていた
粗暴だが正義感の強い刑事のテソクは、警察が何一つ解決の手がかりが手に入らないという報道に不満をこぼしつつ、殺人事件の現場へと向かっていたが、渋滞でなかなか進まず苛立ちを覚える
するとテソクは大規模ヤクザ組織の組長であるドンスが経営する闇カジノへ1人で乗り込み、違法な換金を行っていたチンピラを逮捕、そのチンピラにバイクを運転させて現場へと向かうのだった
被害者は車内で滅多刺しにされた状態で見つかり、死後数時間しか経っていなかったが証拠は見つからなかった
そんな中 テソクは車の後部にぶつけられた跡と白い塗料が付いているのを発見し、友人でもある鑑識のソジンに報告を行う
警察署に帰ったテソクは殺人事件についての会議に参加
そこでは素人の犯行ではないかと結論づけられていたが、テソクは先月起きた2件の殺人も同じナイフを使っていることから、同一犯ではないかと主張する
雑に見えて証拠を一切残さない周到で計画的な犯行であると語るも、その物的証拠は無く、テソクの主張は無視されてしまうのだった
一方 テソクの身勝手な振る舞いを知ったドンスは、賄賂を渡している彼の上司へ脅しをかける
その後 ライバル組織のボスでもあるサンドの元へと向かうも交渉は決裂、その帰り道 ドンスは1人で車を運転していると白い車に追突されてしまうのだった
ドンスが外へ出ると相手の男も謝罪して来るが、突然その男によってナイフで刺されてしまう
ドンスは何度か刺されながらも抵抗し、男は乗って来た車で彼をはね飛ばして逃走
手術の末 一命を取り留めたドンスは、話を聞きつけたテソクの訪問を受けるが、聞く耳を持たず追い返すと、そのまま子分たちに命じて自分を狙った犯人を探し始める
その動きを察知したテソクは、犯人がドンスの手に渡れば法の裁きを受けさせる間も無く殺されると考え、いっそのこと犯人の顔を目撃しているドンスを捜査に協力させることを思い付く
そこでテソクは、ドンスの経営する闇カジノを摘発して圧力を掛けることに成功
またドンスも自分が襲われてから、サンドが好き勝手に動いていることを知り、一刻も早く犯人に落とし前を付ける必要があった
渋々ドンスはテソクの提案を受け入れ、警察とヤクザという2人による共同捜査が行われることとなるが・・・




韓国産クライム・サスペンス

いわゆるバディものであり、警官とヤクザが手を組んで殺人鬼を追う物語
正反対の2人がバディを組み反目し合いながら目的を達成するというのはテンプレートだけど、パワフルかつエンタメ性バツグンの展開でグイグイ引き込まれる

それぞれ腹に一物を抱えながら協力するテソクとドンス、そして野に放たれたままの殺人鬼という三つ巴の戦いを下地に、折り重なっていくストーリー展開が面白い
テソクの熱い正義感とか、実は人情味溢れるドンスというキャラも互いに理解していきながら友情を深めていくのも良い
それに対して殺人鬼も、あのマ・ドンソク演じるドンスを狙うくらいには滅茶苦茶な奴で、まあまあのクソ野郎なのでバランスとしても良い

ド派手なアクションがあるわけではないけど、二転三転する物語の緩急の付け方でがっしりと心を掴まれつつ、思わずニヤリと笑ってしまいそうになるラストまで、疾走感ある出来の良い作品
オススメ
エイデン

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