王道ロマンスの様式美を踏襲したお姫様物語はテンポ感あって意外と心地よい。その王道ぶりは『1ページの恋』を遥かに上回るくらい徹底している。
橋本環奈は絵に描いたような奥手な少女を絶妙なさじ加減で好演。ミスキャストではなかった。 リアル人気者・環奈を起用した製作側は確信犯的だ。
環奈を「スター」の相手役として出すことによって環奈のリアルが鏡面のように投影される。
こんな高級タワマンに一人で住んでいて驚くわ
人気者は案外孤独なのかも?
楓(片寄涼太)に対する日奈々(橋本環奈)の視点《観客が日奈々に乗り移ってスターに抱く感想》はそっくりそのまま環奈にも向けることができるわけで、さりげなくもフィクションの描写を通してリアルスターの境遇に共感させる演出がなかなかにくい。
それからキスシーンではあどけない雰囲気が隠せず、リアルでの恋愛的な未熟さが日奈々の初々しさの表現としてそのまま生きている。