ストックホルム・ケース
なるほど。
これがストックホルム症候群という現象なのだな。
まあしかし、当然と言えば当然の成り行きであろう。
人質を粗末に扱う警察や首相と、人質を大切に扱う強盗犯と、どちらを信用するか、という二者択一な状況であれば、自ずと自分たちを大切に扱っている人間を信じたくなるものであろうな。
まあこの映画の場合は、犯人と人質との間に恋心が生まれてしまっているので、もはや必然であろう。
実に分かりやすい演出だったよ。
しかし、映画にするほどのインパクトを感じられなかったこともまた事実だよ。
自然な流れと当然の結末のように見えたよ。
意外性はなかったな。
つまり、これが本当にストックホルム症候群だと言うのであれば、ストックホルム症候群は人間心理として普通に当たり前のものであり、症候群などという大袈裟な固有名詞を付けるほど不可思議な現象ではないのではないかね。
人は誰しも、自分を命がけで守ってくれる人を信じるものであろう。
それが強盗犯であれ、脱獄犯であれ、自分を最も大切にしてくれる人間を信じるものではないかね。
私は普通にそう思うよ。