あーさん

おとうとのあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

おとうと(2009年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

邦画を観よう!シリーズ②
(山田洋次編)

たまたまTVを点けたらやっていて、前回に引き続き、山田洋次監督作ということで鑑賞。

最初はそんなに興味もなく、鶴瓶演じるはた迷惑な弟にイライラしつつ、そんな弟を唯一庇う姉(吉永小百合)の姿にも、何だかな…と冷ややかな目線だったのだが、、

何をやっても上手くいかない、そのくせ破天荒で、だけどどこか憎めない弟と、しっかり者で世話焼き、苦労人の姉の対比がだんだん切なく思えてきた。

きょうだいって不思議だなって思う。同じ親の元に生まれたのに、顔はどことなく似ていたりしても全然違う性格で取り柄も違っていて。
父親と母親のどちらに似るのかにも依るけれど、大体正反対だったり、入れ併せて丁度良かったり。

"きょうだいは椅子取りゲームなんだよね"って仲の良かったママ友が
言ったことがある。
自身が兄と妹の組み合わせで、よくできる兄の下で何とも言えない歯痒い思いをしてきたと。
私は長女で損ばかりしてきたと思っていたけれど、確かに最初に生まれた子は一番バッターのプレッシャーはあるけれど、誰かと比較されることはない。
そういう意味では楽なのかな。。
尤も私は優等生ではなかったから、すぐ下の妹に速攻その役割は譲ったけど笑 
三番目の妹が、"一番上はおっとりマイペースさん、二番目は勉強ができて優等生って先生に言われて、じゃあ私はどうしたらいいの?ってなって、それでガキ大将みたいになっちゃったんだよ!"なんて話を後から本人に聞いたけど、そういう役割という名の椅子ってあるんだろうな。
(後で気づいたけど、そう言えば今作ではもう一人お兄さんがいた!だから、正確には長女ではないのかな?詳細は不明💦)

一番上でも、男の子は伸び伸び育ちやすく、女の子は我慢を強いられることが多いように思う。
今作の姉も、きっと男だったらまた違ったんじゃないかなぁ。。
うーん、でも姉に世話焼かれない分、出来の良い兄の下の方が弟は辛いか…。

きょうだいと言わずとも、寅さんのように親戚に一人はいる変わり者、困ったちゃんについては、フェリーニの"アマルコルド"のレビューでも触れたけど、そういう所謂'はみ出し者'に注がれる山田洋次監督の温かい眼差しがここにもあった。

ホスピスのシーンでは、自分の亡き父のことと重なり、涙が止まらなくなった。。
ホスピスにも色々あって、行き倒れの人でも手厚いケアが受けられるシステムがあるんだな。
弟の"姉ちゃん、今日はここにおってくれるか?"みたいなほんわかした大阪弁、姉と弟を結ぶリボン、末期がんでガリガリにやつれてるのに点滴にお酒を入れる弟(笑)、なんか、最後はわかってたけどめちゃくちゃ泣かされた。

そこからの、吉永小百合の娘(蒼井優)の選択。彼女の名前の由来。
加瀬亮、石田ゆり子の控えめだけど、さりげない演技が印象に残る。

迷惑ばっかりかけられて来た一見面倒臭い関係の中にも、ほっこりした思い出があり、一緒に生きて来た歴史がある。
絆というか、繋がりというか、、
言葉にはできないものがあって、やっぱり最後は収まるところに収まるもんだな、という人生の、そして家族の不思議さ。
そして、今は亡き夫や義母の、弟への優しい心遣い。。

監督から熱いメッセージを受け取って、多分私は今、言葉の迷子になってしまっている。

あー、もう言葉なんていいや。


今作からは、とてもとても大きな感動をもらった。。

(今回はレビューではなく、完全に感想文ですね🙇‍♀️)


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音楽が良いなぁ、、と思ったら、大河を始め数々のドラマ、映画音楽等の作曲で有名なシンセサイザーの名手 冨田勲さんだそう。
フォロワーさん(kazu 1961さん)情報でした。
ありがとうございます♪
あーさん

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