てる

おとうとのてるのレビュー・感想・評価

おとうと(2009年製作の映画)
2.5
んー。鶴瓶さん好きじゃないんだなぁと実感した。
こういう厚顔無恥で傍迷惑な関西のおじさんっているよね。都合がいい時はニコニコして取り入ってくるけど、機嫌が悪かったり気に入らないことがあると関西弁で捲し立てる。こういう人には近づかないでおこうと思う人を見事に描いている。
鶴瓶さんの芝居はきっと上手いのだと思うんだけど、嵌まり役すぎて、悪い意味で感情移入してしまった。がらがら声で関西弁でしゃべるため、何を言ってるのかかなり聞き取りづらい。それと人に取り入ろうとするあのニタァって笑い方が気持ち悪い。生理的に苦手だ。
このおじさんの良い点が見当たらない。口が達者で、施設の人気者ってとこくらいか。それ以外で良い点があるのだろうか。酒に溺れ、姪っ子の結婚式で大暴れ、定職に就かずふらふらして、趣味はギャンブルで、金にだらしない。困ったことがあれば、姉のとこで甘える。この人間のどこに好感を持てようか。育ての親である姉が甘やかし過ぎてると言わざるをえない。このおじさんは姉や姪っ子に看取られて幸せだったことだろうが、そんな幸せな死に方は少々贅沢にすら思えてしまう。
たぶん、この作品は、どうしようもない男だけど、憎めないおじさんで、家族の絆ってのは素敵だねって作品なのだろうけど、あまりに綺麗に描きすぎてはいないだろうか。吉永小百合が聖人君子のような出来た人過ぎないだろうか。こんな録でもない男に尽くす吉永小百合が美しすぎて、天女のようで、私はどうにもそんなに綺麗にいられないと思えてしまう。
山田洋次が描いているのはいつも家族だ。家族の絆は美しいという讃歌のような作品だ。私は山田洋次の作品は好きだけど、始めて相容れない作品に出会った。それは、30を過ぎ、酸いも甘いも経験したからこそなのだろう。良い意味でも悪い意味でも大人になったんだなぁと実感させられた。
てる

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