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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のchisssssyのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

時間が止まった乱闘シーン(ちょっと震えてる人がいて笑った)、白黒からカラーに変わるのを合図にした時間の跳躍や気持ちの昂りの描写、手持ちカメラでのパンを含んだ長めのカットなど、きっと初めてのウェス要素もあったけど、定番のもたくさんあって安心した 降雪量を雪の粒で数えたり、思ったことを全部言葉にして曖昧さを排除する超低コンテクスト的なセリフ(動きは単純化されてるのに)とか、学生と体制側がチェスで勝負したり、刑務所で暴徒たちがリーダーを立てて交渉しに来たりというような緊張の中の間抜けさとかも見事だし、こういうのはどれだけ観ても飽きない!

モーゼスがバーテンダーを殺す音とシェフが牛を解体する動作が一致していたり、片手に料理を持っているから射撃訓練が下手なのとか、フレーム内の描写でフレーム外の様子も想像させる細かい部分もユーモラス

サントラも当たり前のように心地よかった やっぱりカノン進行の曲はまだ心を揺さぶることとか、キッチュなグラムロック(PulpのJarvis提供なの最高)はウェス作品に合うことを学んだ

おなじみのグランドホテル形式的&入れ子の構造だから、全ての章が記事の草稿という共通項があったけど、登場人物の片目から涙がこぼれるという点でもゆるやかに繋がっていたのが特に素敵だった “No crying”という社の標語から外れて、いろんな人の感情を汲み取った記者たちの人間らしさが伝わった

ずっと前から待ち望んでたのに、観るのが公開日から2日も遅れてしまって、この映画を劇場で観られる時間が2日短くなったのが惜しい…何回も観てその度に発見をしたくなるような、新しいお気に入り映画になった
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