ウェス・アンダーソンが好みかそうでないかで評価が二分するでしょう。
ウェスワールドどんぴしゃマンですので、いたく気に入りました。
まず、美術的な映像作りはさすがのもので、どこを切り取っても画となるとは正にこのことです。このセンスは本当に堪らんです。
そして、豪華すぎるキャスト陣は目をみはるものがあって、彦摩呂なら玉手箱や宝石箱に例えるに違いありません。どの箱の蓋をひらいても結構ビックネームがいて驚きです。
ストーリー構成は雑誌のコラムを記者が紹介するというオムニバススタイルです。一つ一つが一本の映画にしても良いような身の詰まったものでした。紹介の仕方もある者はプレゼンテーションのように、ある者はTV番組のように、といったウェス・アンダーソンらしさに溢れたものです。
雑誌を観るような作品です。
きっと彼には雑誌がこのようにみえているのでしょう。
ちなみに今回のお気に入りはティルダ・スウィントンが記者のベニチオ・デル・トロの話です。
ウェス・アンダーソンは実在する雑誌『ニューヨーカー』の熱心な愛読者で、アメリカの自宅には『ニューヨーカー』のバックナンバーが壁狭しに並んでいるそうです。本作はその『ニューヨーカー』から着想を得ているもので、並々ならぬ情熱がかけられている事が伺えます。
記者にもモデルがおり、是非とも『ニューヨーカー』も読む機会を設けてみたいと思います。