PERSPECTIVE

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のPERSPECTIVEのレビュー・感想・評価

4.9
役者、アスペクト比、色彩、字幕のレイアウト...画面に映っているものすべてにまんべんなくこだわり、それら培ってきた情熱やアートが死や別れであっけなく消えるムナシサを覚悟しつつ何が何でも前を向き続ける。もはや人生そのものが映画と一体化しているような狂気的幸福感。とりわけこれまで出てきた記者が一つの窓にそろって議論し合うラストはその意思ないし意地の結晶となった見事なショットである。

映画という器が思想や世間体という粗食によって敷き詰められる昨今、ウェス・アンダーソンという男の「この私が映画であり、アートなんだ。」という血が混じった叫びには皆もっと真剣に耳を傾けるべきだ。
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