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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のnaomisaのレビュー・感想・評価

4.3
ウェス・アンダーソンに魔法をかけられた人々は、この映画に散りばめられた彼にしか出来ない鮮やかな演出と独特なカメラ・ワークに魅了される。
私もその1人。
ギャルソンが飲み物をてきぱきと用意してドールハウスの様な建物を駆け上がってフレンチ・ディスパッチ社に運ぶ最初のシーンからワクワクが止まらない。
セクションごとに凄腕雑誌記者が書いた記事をチェックするとその記事の内容が映し出されていくというプロット。
どのシーンにおいても色の使い方が絶妙だ。
刑務所の中で炸裂する狂気の芸術やヌーベルバーグ的なんちゃって5月革命は真剣なのかおちょくってるのか。
脇を固めるアンダーソンお気に入りの俳優達もいつもの様に勢揃いし、無表情で小気味良く掛け合う。
こだわり過ぎる人間と社会の滑稽さを冷めた目で見ながらも、観る人の心に触れてくるアンダーソンの創意工夫に満ちた世界を夢心地で堪能した。
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