Kto

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のKtoのレビュー・感想・評価

4.3
【感想】
にわかながらPOPEYEやBrutasなどをつまみ読みしている自分としては、雑誌特有の「通底する世界観や温度感は同じだけど、数ページ毎に異なるテーマやコラムが載っている」感覚が心地よいと感じていた。
そういった雑誌独自の方法論を、映画文法に持ち込んでいるという点で斬新に感じた。

最初の章から、ジャックタチ感溢れる執念深い画作りが冴えていて、本当に凄い。ウェスアンダーソン節が溢れている。

Arts&ArtistsやTastes&Smellsの話はストーリーだけでも非常に面白いけど、それを”脱構築”しようと作中作(中作)であることを繰り返し見せるところが独特。意図的なアスペクト比やモノクロ&カラーの切り替えが目まぐるしく、お腹いっぱいになる(褒めてる)。カーチェイスのアニメーションが可愛すぎて笑った。

Politics&Poetryのヌーヴェルヴァーグ感は最高。リナ・クードリがだんだんアンナ・カリーナに見えてくる。よい。

今回も、脇役までセレブリティで固めていく感じが最高だった。クリストフ・ヴァルツの扱いが軽すぎて笑ってしまった。エリザベス・モス、トニーレヴォロリ、シアーシャローナンetc…。ウェス映画に出る俳優たちが皆本当に楽しそうにしているのを見ると、いかに人望があるか分かるよね。すごい。
Kto

Kto