Monisan

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のMonisanのレビュー・感想・評価

3.7
観た。

シンメトリーだったり、対象物を画面の中心を捉えた構図だったり、長回しの横移動のカメラとか。所謂ウェス・アンダーソン風は全開だし。カットごとにアスペクト比もカラー・モノクロを変えたり、アニメまで取り入れて自由な映像は美しい。

ただこれ撮影、大変だろうな…完璧を求められるカメラワークとそれに合わせた芝居と美術。裏側を考えながら観てしまい、すっかり疲れてしまった。

加えて映像を観たいのに文字や台詞など、字幕要素が多いのでそれを必死に追いながらの鑑賞になる。

エピソードとしては、芸術の記事の話が好きかな。刑務所内での作品制作の遅れを壁画のフレスコ画で描いて反抗する所とか。実際描かれてる壁画も芸術的だし。部屋ごと飛行機で運ぶ富豪も面白い。レア・セドゥの身体をはりまくりなミューズぷり、素晴らしい。

政治と詩は、映像と台詞に更に概念的な言葉が入ってくるので最早正しく理解するのはしんどかった。学生リーダーのティモシー・シャラメは魅力的な役者。

味覚と臭覚は、記者の回想をTV番組形式で振り返り、途中脱線もするから…これも雰囲気を楽しむ事にした。
最後に味の話なのに全然出てこないと指摘を受けた後の、ネスカフィエが毒薬の味について語る部分は確かに良いのに、なんで最初割愛したんだろう。

だいぶお腹いっぱいに終わった後の、エンドロールの文字のトランジョンまで細かく変えてくるのね…スタッフの皆さま、大変だっただろうな。

ウェス・アンダーソン、脚本・監督
Monisan

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