まぬままおま

つま先だけが恋をしたのまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

つま先だけが恋をした(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「なつめ/はち/みよこ」(造語しました)4部作第一作。

普通の幸せが〈私〉に似合わない、本当に好きか分からない、言葉にすると違う感情。

似合わないなら普通じゃない幸せを追求しろよ。本当だと思う仕方で好きになれよ。感情なんて言葉に合うわけないんだよ。その言葉をつくったのは、私じゃない誰かなんだし、けれど言葉でしか誰かと意思疎通はできないから、足りない言葉で感情を伝えるんだよ。

不幸な〈私〉を死に向かわせるなよ。確かに生きるのはしんどい。けれどしんどさを抱えて、それでも幸せを追求しようともがくことが、特別な〈私〉にしてくれるのではないか。だがそんな〈私〉は、あるがままといっていいかもしれないが。
雪にとって、紳司は恋人でなくても側にいてくれる。カメラという意識を向けてくれる。道を横断してくれる。もう雪は幸せになる準備ができている。
だが紳司は可哀想な奴だ。彼は雪に心配させられることを頼られていると錯覚し、それに幸せを感じているのだから。けれどそれは幸せと呼ばない。紳司のためにはなってないからだ。いくら雪に手料理を振る舞うといったケアを行っても、写真が撮れるようにはならない。

では私と紳司は全く違う人物かと言えばそうではなく、むしろ似たもの同士で悲しくなるのだ。