足拭き猫

典座 -TENZO-の足拭き猫のレビュー・感想・評価

典座 -TENZO-(2019年製作の映画)
3.7
宗教が人々から遠くなっていく中でお寺が危機感を感じて精進料理を通して教えに親しんでもらおうという動きが盛んになっているが、河口智賢が悩んでアプローチの仕方を問うた時に青山俊董がいきなり否定するようなニュアンスで、教えの本質を語りだすのが衝撃的。かと言って身近なものに感じてもらえなければ宗教の存在意義もない、命の電話相談をしている倉島が自ら悩んでいる姿を見るにつれ、やろうとしていることに限界があるんじゃないかと感じた。河口は地面を踏みしめて教えを自分のものにしたがそもそも本質的なところを現代の仏僧は理解しておらんのだなぁと、演出かもしれないが。
智賢が宇宙空間で解脱していくところがなかなかぶっ飛んでいる。作品は仏教界の自分たちへの諫めやこうありたいという願望もあるのだろうな。