ゆず

トゥレップ〜「海獣の子供」を探して〜のゆずのレビュー・感想・評価

3.5
「海獣の子供」を理解する助けになるかと思って鑑賞したら、やはり今回も「何も分からないことが分かる」感じだった。

ドキュメンタリー映画というよりはインタビュー映画と呼ぶべきで、海や生物について専門家の興味深いお話が満載されており、それらは全然整理されていない。
そもそも全体が「謎の失踪を遂げた男が残した6本のビデオテープに収められた映像」という体裁をとっており、この謎の男(森崎ウィン)ちょくちょく自撮りで登場するのだが、だんだんと心療内科案件になっていく。なので「彼だけに分かる何か」を追いかける作品。

インタビュー内容はとても面白く、もっと聞きたくなるような話ばかりだった。
海と生物についての不思議な話。けれど、現実の話。
今になって思うが、このドキュメンタリーの真の目的は、あくまでフィクションである「海獣の子供」と現実をつなぐことにあるのではないか。
現実の海や生命も神秘のヴェールに覆われているのなら、「海獣の子供」で描かれたようなことも現実にないとは言い切れないのではないだろうか?こう思ってしまうのは森崎ウィンの病気が感染したせいなのだろうか?

ちなみに「海獣の子供」で相当な苦労をしたというCGチームが本作でも仕事をしているのがなんか泣ける。
東京の都市空間に浮かぶ魚や目玉、よかった。
ゆず

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