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METライブビューイング2019-20 ガーシュウィン「ポギーとベス」のadagietteのレビュー・感想・評価

5.0
ブロードウェイ作品だとばかり思っていたけれど、見事なオペラ!
タイトルロールだけではなく 男声も女声も ソリストが多数配置されていていろいろ楽しめる。
ガーシュインが 一部キャストは以外は黒人歌手が歌うことと指定している。
ゆえに 黒人歌手が勢ぞろいの舞台なのだが、彼ら 大きい?

ポーギー役のエリック・オーウェンズ は リングのアルベリヒや Live Viewing のホストも務めていて 大柄な方だと思っていたが、彼が普通サイズに見えてしまうし、ベス役のブルーは大輪のダリアとでも言おうか!
とにかく皆さんステージ映えする。
加えて声のタフさというか 合唱の響きの強靭なこと!

実は歌は聴いた事があるものの(有名すぎる!)通しで見たのは初めて。
貧村なれど 良き共同体の Catfish Rowだが、酒・ばくち・薬は災厄を呼び込む。死人が出る。そうなった途端に 公権力が入り込んできて 突然様相が変わり ”差別”の構図が鮮明になる。
そして ハリケーン ...... 貧しいがゆえに のしかかるさらなる不幸。
市民が直面する不条理をそのまま芝居に映し出している。
最初に歌われる Summer Time は のどかな子守唄のようだが 中盤でもう一度登場するときは 悲しみを包み込むような歌となる。見事。

昨年はネゼ=セガン体制初年度 レヴァインのごたごたへの意見表明か?とも感じるプーランクが印象的だったが、19-20シーズン前半に配された”ポーギーとベス”もまた 世情を受け止めての選択か。。

村の重鎮(?)マリアは 懐かしいデニス・グレイヴス
聴いたとたんに、もしかして!!とハッとする特徴的な声。
彼女がカルメンやデライラを演じたとき 群舞とともにステップを踏めばダンサーたちが霞むような 強烈な存在感があったのを あの声とともに 鮮明に覚えている。
20年も経って また聴くことができて なにやら胸がいっぱいになりました。
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