暴力と破滅の運び手

METライブビューイング2019-20 ベルク「ヴォツェック」の暴力と破滅の運び手のレビュー・感想・評価

-
言ってしまえば「カルメン」と似たような世界というか、原作のビューヒナーが精神鑑定書から引っこ抜いてきた言葉を抜きにすればまあ男の自意識が女の裏切りでメチャクチャになり世界が崩壊し男が女を殺すという“ロマン派”っぽい話なんだけど、ベルクの書法にそれを乗せるとロマンの欠片もないただの崩壊であり地獄であるという気分になるのが不思議。ひたすら精神のざらついた部分をごりごり押してくる感じがするというか。
美術は好みじゃないけど歌手は頑張ってて(ヴォツェック役のペーテル・マッテイがかわいい、ずーっとしわしわピカチュウみたいな顔して歌ってる)、まあMETだな〜って感じでした。