けーすけ

思い、思われ、ふり、ふられのけーすけのレビュー・感想・評価

3.7
2020/08/15(土) TOHOシネマズ日比谷 シアター8 13:05回にて鑑賞。E-9。原作未読

漫画原作との事で、さぞキラッキラした青春ストーリーなのかな?とか勝手に想像して観てきました。映画『君の膵臓をたべたい』での浜辺美波×北村匠海のコンビが再び、果たして。核心ネタバレはありませんが本編内容、小道具等に触れてますので未見で気にされる方はご注意ください。



人見知りで自分に自信が持てない市原由奈(福本莉子)。由奈とひょんなきっかけで出会い仲良くなった山本朱里(浜辺美波)。そして朱里の弟である理央(北村匠海)。由奈の幼馴染である乾和臣(赤楚衛二)。彼ら4人は同じマンションに住む高校1年生だった。それぞれに“好き”な気持ちがあるけれど、言えない気持ちが交錯する青春恋愛物語。





主要キャストが4人いるので「ついていけるかな?」という不安も少しありましたが、三木孝浩監督の手腕でしょうかとてもスムーズに人物の人となりが頭に入ってきました。4人もの登場人物の恋愛模様を表現するってかなり難しいと思うのですが、表情や視線などの機微でごく自然に理解できたのも観ていて混乱せず好ポイントでした(一部に仕草や独白といった分かりやすい表現もあったけど)。表情の映し方や、カットの構図が綺麗で観ていて本当に気持ちよい映像でした。
監督の過去作調べたら『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』や『坂道のアポロン』等があるのですね。まだ観ていない作品も気になったのでチェックします。


劇中、時折過去を振り返るシーンが差し込まれますが「実はあの時に」という見せ方もとても素晴らしかったです。導入部の雨のシーンや、同じく雨の相合傘のシーンなどの印象付けは「なるほど~!」と一本取られた気持ちに。
由奈の初恋の相手である“絵本の王子様”の部分も素敵な伏線回収で心がホカホカしましたよ…。



浜辺美波も北村匠海も存在感を確立させた安定の演技。ただ安定しすぎていて「高校1年生のわりに落ち着きすぎでは…」と少し気になってしまったのも正直なところ。
そんな二人と共演した福本莉子と赤楚衛二もしっかりと存在感があり、キャラが立っていて良かったです。
それぞれの人物や家庭事情等にもスポットを当てており、ただの恋愛イチャコラ話だけにしなかったのも好印象。

原作漫画は全12巻って事だけど、映画ではどこまで描いたのだろう。多少駆け足感はありましたが、全てを2時間ちょいでまとめていたとしたら凄い脚本力だと思います。



本作、映画愛もあふれており、赤楚衛二が演じた乾和臣は「将来は映画を作る仕事をしたい」という夢を持っています。部屋にも『8マイル』や『ボーンアイデンティティ』のポスターが貼ってありDVDは棚に数百本。そんな彼と理央が仲良くなるきっかけが『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だったり、字幕派だったりと。僕も和臣くんと友達になりたい!!
(DVDがアレされた時には怒りを覚えましたが、和臣にとっては絶望であり諦めだったのかなあ…)

さらにキーポイントとなる映画が『アバウト・タイム-愛おしい時間について-』だったのも好ポイント。アバウト・タイムもまた観たくなってしまった。笑



主題歌であり、Official髭男dismの珠玉の名曲“115万キロのフィルム”が流れるタイミングも最高だし、歌詞も本作にマッチしており鑑賞後の爽快感は抜群でした。
(ただ、ちょっとだけ別の2人がくっついたverも見たかったのも正直なところ。ドロドロになっただろうな…)



僕みたいな大人でも高校生の頃を思い出してキュンキュン(死語?)できた良い映画でした。


[2020-126]
けーすけ

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