河

De brug(原題)の河のレビュー・感想・評価

De brug(原題)(1928年製作の映画)
4.6
同じ橋を色んなところから撮った短編。撮影者とともに橋を初めて発見していくような感覚がある。

橋の上を電車が通る→橋が上げられる→船が橋の下を通る→橋が下げられる→橋の上を電車が通る っていうこの橋の変化が映像としての交響曲的な展開と一致していてめちゃくちゃに気持ち良い。更に最初に示される橋の形状と同じシンメトリーな展開になっている。
最初の橋とそこを通る電車のシークエンスはひたすら多幸感がある形になっていて、橋が上がるところで一度緊張感が上がり、船が下を通るシークエンスで一度落ち着く。そして橋が下げられるところが、その後の電車が通る前半の繰り返しと合わせてクライマックスになっている。そのラストの電車の撮り方が前半からより多幸感あるものにビルドアップしているのが最高だった。その中でも真上から撮った一直線に過ぎていく電車の煙を追っかけていくようなショットが最高に好き。

この短編はカメラを持った男や時の外何物もなしとかと同じ、city-symphonyっていうドキュメンタリーと前衛の交錯するサブジャンルに含まれるらしい。この作品はそのジャンルの雰囲気を掴むのに非常にわかりやすい作品のように思う。
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