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生き人形マリアのarinのレビュー・感想・評価

生き人形マリア(2014年製作の映画)
4.0
チープさを補ってあまりある設定の勝利。

設定で九割型面白さが確定している映画である。
それなりに問題を抱えながらも仲良くすごしていた三組の家族。とある日に交通事故で愛娘を喪う。喪失感を埋めるため、うさんくさい心理学者の男からセラピーの一環として渡されたのは娘に姿かたちを似せた人形。最初はいぶかる家族たちだったが、やがて情が移りはじめる。つかの間の平安を手にしたかと思われた矢先、その人形たちは意思を持ったかのようにその身を動かす。

この興味深い設定だけで、もう食指が動いてしまう。
最初は他愛のないいたずらを繰り返すだけの人形だったが(スマホでいたずらしたり、リモコンいじってテレビつけたり……ここは笑う)、しだいに行為はエスカレートする。包丁を持ち出して家族に凶刃を向ける。

人形はなぜ動くのか? 鍵をにぎる少年の霊は何者? そしてこの三家族、何かを隠している。なにを隠しているのか?

冒頭、阿鼻叫喚の事故現場を執拗なまでに克明に描く。安っぽいCGはご愛嬌、どんでん返しのストーリーも有り、おおむねツボを押さえた作りになっている。人形の造形がおざなりなのが、逆に恐怖を煽っている。

もはやホラーの定型文なのかもしれないが、続編を匂わせる落ちにも続きを期待してしまう。
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