Bitdemonz

ファブリックのBitdemonzのレビュー・感想・評価

ファブリック(2018年製作の映画)
4.8
かなり訳が解らない、そして酷く不気味。

一見マトモな日常に入り込んでくる不条理なモノを想定していたが、どうやら全体的に狂っているようにみえる、この居心地の悪さが最高に最悪で素晴らしい。

如何にもらしい難解な言葉やエンジニアの使う専門的なワードの数々で朦朧とした意識へ叩き込むような強烈なビジュアルの百貨店セールスCMで洗脳状態になってしまった我々は気付かないうちに“買わなくてもイイようなモノ”をうっかり買わされているのではないか……

……とかそういうテーマ性も感じるが、最早そういったアレコレを考える事すら無駄なように感じるのは、既にこの作品そのものがそうした構造の洗脳状態を作り出す装置になっている(劇中での洗濯機の説明で目がとろーんとしてる状態)のかもしれない。

よくわからん時代設定、何を考えてるかよくわからん登場人物たちに、なんか噛み合わない会話、なのに整合性がとれてるような展開はもう完全に“夢”そのもの。目覚めると直ぐに忘れるけど、なんか引っ掛かる「なんか変な夢見たなァ」のアレ。この感覚は『イレイザーヘッド 』を観た時ととても似ていると感じた。



ちゃんと筋書きや結末がしっかりしてないと面白くないと感じるという意見も間違いではないと思うので、軒並み大勢の方の評価が低いのも理解できますが、個人的にはドンピシャでした。ただちょっと長いかな……。

オープニングの造りや百貨店CM、演出や音作りなど70年代から80年代的な雰囲気も良い感じで気持ち良く(悪く)、個人的には「アフリコーラ(YouTubeとかで“怖いCM”で検索すると大体出てくる)」を思い出しました。
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