おれさま

幼い依頼人のおれさまのレビュー・感想・評価

幼い依頼人(2019年製作の映画)
3.6
"ちょっと悔しくても 死ぬよりマシだよ"

2013年の漆谷(チルゴク)継母児童虐待死亡事件をもとに製作された本作。虐待の作品は数多く、それだけ身近な事件でもあるということ。

子どもにとっての世界は家族。
悪だろうとなんだろうと、その狭い世界が全て。そして、子どもたちは自然と自分に非を向けてしまう。外部は助けてあげろ等、簡単なことを言うけれど、法がどうしても間に立ちはだかる、そして当事者にとっての不安は親に反抗をしてしまったという罪悪感や恐怖心。

映画に目を向けると、シーンの一つひとつに力が込められている。そして、虐待の描写を減らしたのはせめてもの救い。
ハンバーガーの約束、健気で切ない。
ジャンホ、イケメンすぎる。
ダビンは俺の依頼人だ。痺れた。

映画としてのレビューなのでネタバレを含むこともあるでしょう。実際の事件のその後、光が差し込む未来であってほしい。
ラストの紙飛行機が昇っていくシーン。
"これでママに会える"、は純粋に心が動いた。

他にも、韓国の実話を基にしたトガニ。
以前より気になっていた作品、こちらも近々視聴したい。

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この事件から8月で10年。韓国では児童虐待件数が年々増加。法の改正も行われ、事件が目に見えるようになったことも背景に。
日韓の違いとして、数字としては日本の件数がかなり多い。しかし、これは日本では発見・発覚できているということでもある。

日本は児童相談所の設置義務があるが、韓国の児相は任意という点が大きな違いかも。また韓国は行政ではなく、民間団体に任せている部分も大きい。根絶は無理かもしれない、早期発見・早期対処が行える社会作りを。
今作のように、児童本人からの通告も増加している模様。その勇気、救われてくれ。

私自身も、行政に勤めることのできる資格を持っていることもあり、敏感な話題です。
全ての子どもたちの未来が明るくありますように。
おれさま

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