湯っ子

はちどりの湯っ子のレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.0
青春時代がキラキラしてるなんて嘘。
青春って、こんな風に居心地悪くて、いつも不安定で、自信がなくて、こわいことばかり。
でも、自分でもコントロールできないエネルギーに溢れている。 

いつも何か不機嫌な雰囲気の家族。威張る父親に疲れた母親。両親からすると期待外れの姉。それもあってか、両親の期待を一心に背負った兄。
両親は、末っ子で女の子のウニには関心がないように見える。

友達は大切。付き合っている彼との時間はウキウキする。だけど、本当は何を考えてるかなんてわからない。

そんな中での塾のヨンジ先生との出会い。
ヨンジ先生からは自由の匂いがする。初めて、自分の言葉をそのまま受け止めてくれる大人と出会うウニ。目の前の世界が、少し開けて見える。

でも、別れは突然やってくる。
そして、今の生が、常に死と隣り合わせにあるということを、嫌でも思い知らされる出来事との遭遇。

皮肉にも、そんな出来事があって、家族はお互いをいたわることを思い出したように見える。

悲劇の起こった橋へ出向き、目を閉じるウニ。

「世界は不思議で美しい。」
ヨンジ先生からの手紙をお守りにして、ウニは小さな翼で羽ばたくことをやめない。


みずみずしい傑作!
湯っ子

湯っ子