KanataAndo

はちどりのKanataAndoのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.1
私はいつも映画の中に自分を見つけるのだが、この映画は、特に過去の自分と重なる部分がたくさんだった。
非常に繊細で説明が難しいが、家庭内暴力、壊れた家族仲、大人からの問題児扱い、不良行為、万引きそして親友の裏切り行為と自責の念、恋仲、同性愛、その心の移り変わり、事故。一つ一つの体験がすごくリアルにこの世代の子の心の情景を描いていた。
中学生のこの時期って、子どもだからと安易に扱われがちだけど、本当に心壊れそうなくらいに処理できない感情の波打ちが非常に激しく、忙しい。
そんな時に大人とか子どもとかではなく、人として心に寄り添ってくれた先生の存在はかなり大きい。初めて、大人に対して心を傾けたいと思えた存在だろう。
私も高校で途中で入ってきた顧問が唯一初めて子どもとしてではなく人として接してくれ、正しさを教わり、本当は問題児でいたいわけではないことを知り得て信頼を寄せた。その存在は心の拠り所となり、今では恩師だ。
病院でまわりの大人が気遣ってくれた事も、先生だけでなく、大人=理不尽な生き物という認識も、あながちそうでもないかもと解けてきた気がする。
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