イクミナ

はちどりのイクミナのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
5.0
902号室と1002号室
「オンマー!オンマー!」と、うるさいくらい叫ぶ、ウニ。しかし、ドアは空かない。次に、ドアが開き母に迎え入れられ、もっといいネギはなかったのといわれる。902号室と1002号室を同時に写すヒキのショット。意味不明であった。最後に何かあるのかなと思っていたが、なかった。しばらくして考えてみると、プロローグが、すべてを表しているのかと思った。揺れ動く不安感が、こちら側にしっかりと植え付けられた。多分8K撮影だろう。産毛の一本一本が見え、ウニの口元に黒い毛まで見て取れる。「バーニング」もそうだったけれど、現実感がある。リアリティではなく現実感。母親の姿があり、ウニが「オンマ!オンマ!」と呼ぶが母は、気づかない。白日夢のような表現。塾の先生が言いたかったことも謎のまま。兄が食卓で後ろ姿で泣き崩れるのは、妹が橋崩落事故でバスに乗らずに助かったことの表現もわかりにくい。「死」のリアリティ。説明はしない。言いたいことは言わない。野田高梧、小津安二郎だ。この監督の前作「リコーダーのテスト」https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?&q=%e3%83%aa%e3%82%b3%e3%83%bc%e3%83%80%e3%83%bc%e3%81%ae%e3%83%86%e3%82%b9%e3%83%88+%e9%9f%93%e5%9b%bd%e6%98%a0%e7%94%bb&&mid=B2572F080F68BDA1D3EDB2572F080F68BDA1D3ED&&FORM=VRDGARも、そうだけれど、情景の挿入の仕方が、小津映画を思わせる。いいたいことはいわない。おもしろい。もう一度見よう。
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