馮美梅

はちどりの馮美梅のレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.0
韓国の家族の抱える現実が描かれていたと思います。
何事も学歴が第一、学歴がないことは人生終わったというような社会。
だから子供たちも親も常にストレスを抱えて生きている。

特にお金持ちではない家庭はより切実な問題で、主人公のウニの家庭も同じ。親は長男にソウル大学に入学しろとはっぱをかけ、上の姉はそんな親に反抗して、常に言い合いをしている。ウニに対してはある意味無関心。

学校でもクラスメイトと仲良くなることもなく、しかし彼氏がいたり、同じ漢文塾に通ってる同年代の友人がいたりしてそれなりに楽しいこともあったりするけれど、そんなことで自分の中にあるモヤモヤが解消されるわけではない。

兄はストレスのはけ口にウニに暴力を振るったり、ウニの体に異変が起き手術をすることになったり、彼氏ともうまく行かなくなったり、些細なことかもしれないけれど、彼女にいろんなことが目まぐるしく起きる。

そんな彼女に漢文塾に新しく来た女の先生ヨンジと心通わすことになる。
内に秘める思いを飲む混んでばかりじゃだめだと、立ち向かっていくんだと言われ、少しずつ彼女も変化していく。

しかしそんな時、突如ヨンジが塾を辞めてしまう。
どうしても伝えたいことがあるウニ、しかしそれも叶わなかった。

1994年10月21日朝、ヨンス大橋の真ん中で崩落してしまう。
偶然姉のスヒはバスに乗り遅れて事故に巻き込まれずに済んだ。

次の日、ウニにヨンジからの荷物が届く。
ヨンジはいつもウニの心に寄り添ってくれていることが嬉しく、住所を元に家を訪ねるが…

世の中の理不尽をこれでもかというくらい受けるウニ。
人間として生きるということ、死とは何なのか?
単純なようで複雑な中学2年生の心模様を丁寧に描いている作品。

キラキラ夢物語の韓国ドラマとは違う、現実の韓国の市民の生活を知ることができる。映画の時代、韓国は橋の崩落やデパートの崩壊色んなことがその後まだまだ起きることとなります。ウニはどんな青春をおくるんだろうか…
馮美梅

馮美梅