LalaーMukuーMerry

8番目の男のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

8番目の男(2018年製作の映画)
4.4
日本で裁判員裁判が始まったのは2009年、韓国でも国民参与裁判という名前で同様な制度が始まったのが2008年。ほとんど同時期! 
          *
たとえ百人の犯人を逃しても一人の冤罪をつくるな
法は人を(無闇に)罰しないためにある
推定無罪の原則
          *
陪審員に選ばれた人に裁判官が教育をして、いよいよ裁判はじまる・・・
          *
当初は検察側の主張に沿って有罪確定の下、刑の重さ(懲役年数)を考えるだけの筈だったのに、容疑者が自白を取り消し無罪を主張したため、有罪か無罪を争う裁判に切り替わる。陪審員の負担が一気に増え、女性裁判官(=ムン・ソリ)にも重圧が。何しろ初の陪審員裁判なので世間の注目度が高かったから。結構筋書きのないドラマっぽく進みます。
          *
陪審員裁判を描いた名作としては、「十二人の怒れる男」(US/1959)、「12人の優しい日本人」(JP/1991)、「12人の怒れる男」(2007/ロシア)など。どれも陪審員のほとんどが有罪とする中、それに逆らって納得のいくまで真実に迫ろうとする頑固な一人がいて、彼の姿勢が他の人にも伝わって、小さな疑問(ほころび)が次第に大きくなり、「有罪」判断がぐらついてくるという展開(他人の一生を決めるという責任の重さが陪審員の心に急にのしかかる)
          *
この作品も同じようにストーリー展開するのだけれど、証人の発言内容が正しいのかを判断をするために、いくつか実証実験を陪審員が裁判官に要請して、真実に迫っていくところが大変興味深かった(日本の制度でこんなことができるのだろうか?)。そして被疑者(尊属殺人=母親殺し)の真実に陪審員全員がたどり着いた時、・・・涙がでます。
          *
陪審員の判断と、プロである裁判官の判断が異なる時、判決は一体どうなるのか? 最後までハラハラさせられる演出はなかなかでした。
          *
韓国では記念すべき最初の陪審員裁判が、実話ベースでこんなに面白い作品になったのだから、日本でも何か映画にして欲しいですね。