mare

豚のmareのレビュー・感想・評価

(1970年製作の映画)
4.0
一頭の豚が小屋から放たれ、解体、食用に加工されていく様を見せるドキュメンタリーで、その道のプロの仕事が実にリズミカルな行程を踏んでいく様を観ているだけで興味深く面白い。優れたチームワークと無駄のない一つ一つの作業、職人技にただただ見入ってしまう。命をいただいて食するテーマなので最初のシーンこそ命を断ち切る瞬間の容赦ない部分はあるが、解体作業の横で駆け回る無邪気な犬が出てきたり映画的なユーモアも感じられ、ユスターシュがドキュメンタリーの分野でも優れた作家であることを証明している。会話劇のテイストでしか彼の一面を知らなかったから、動的表現の追求も垣間見れて新鮮。飾り気のない淡々とした記録の積み重ねがドキュメンタリーの模範になっている好例。
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