ごんす

愛欲のセラピーのごんすのレビュー・感想・評価

愛欲のセラピー(2019年製作の映画)
4.0
『落下の解剖学』観るのでジャスティーヌ・トリエ監督作品を観てみた。

精神科医をしながら作家をやっている主人公シビルが執筆に専念する為、引退を決意。
しかし依存度の強い女優の患者のカウンセリングは継続することに。
愚かなことに彼女は女優の患者のカウンセリングを録音し作品に書いてしまう。

この主人公シビルさん、物語の中で一番信頼されている人物かと思いきや一番愚かにも見える。
精神科医でありながら自身もアルコール依存症だったりメンタルヘルスも万全ではないのは元パートナーへの未練や母の死が関係していると思われる。
強さと弱さが同居しているとかそんなカッコいいものではなく人間ってこういう所あるよなと思わされる人物(彼女に共感できるかは別として)

患者のセラピーを通して自分自身が癒され解放されていく話だとは思うが官能的な展開もあるとはいえ『愛欲のセラピー』という邦題はどうにかならなかったのか。

女優、女優の彼氏、そして彼らと作品を撮っている女監督の下世話な三角関係なども絡んできたりシビルの子供や同居の妹との関係も描かれている。
わりと登場人物は多いが、どこに着目しても母というテーマはぼんやりと浮かび上がってくる気がした。
イライラしたくない人にはオススメできないけどなかなか面白いのでタイトルで避けられてそうで勿体ない。

しかし最近母なるものや母性への戸惑いについて考えさせられる映画を観ることが多い。
そろそろお母さん大好き!産んでくれてありがとう!な映画も観てバランスを取ろうかな。
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