くるぶし

燃ゆる女の肖像のくるぶしのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
3.7
絵具を混ぜ合わせ、一筆一筆キャンバスにのせる。
油絵はこのひとつの作業のくりかえしだ。一度のせた絵具は、基本的には取り除けない。幾重にも絵具を重ねることで表現する芸術。
この映画は、モデルと画家ふたりの軌跡を絵画の手法のように重ね、厚みを増していくのが面白い。

「好きな人を絵画のなかに綴じこめる」という行為が、エロイーズとマリアンヌふたりにとって恋の記憶を埋めこんだ証の意味ならいいと思った。純粋な愛であり、祈り。

徹底的に男性を排除した村の女たちの描写や、堕胎シーンも含めて、映像のうつくしさは圧巻。映画全体からほとばしるアートの香りに酔いながら、荘厳なラストシーンになだれこんでいく快感は、できればスクリーンで味わうのがよいかと思う。
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