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燃ゆる女の肖像のswknnmyのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.3
一定の心の距離を保ち
言葉を選びながら会話をするも
見つめる目線や瞳の中の揺らぎ
微妙な表情で心の機微が読めてしまう

どんなタイミングで人と人は心を通じ合せるのだろう
その瞬間はとても尊いし
瞬間の美学かもしれない
そんな瞬間の連続で生きてるのかもしれない
それをしぶとく見極めるのも大切かもしれない

最後の泣き笑う長いシーンは
心に問いかけてくる
一緒になれなくても
そんな経験が心にあるだけで
豊かに生きれるのかな
実らないからこそ
その想いを宝物のように大切にできるのかな

「美術や文学や音楽などのアートこそが、
私たちの感情を完全に解放してくれることを描きました」
という監督のインタビューを読んで

簡単に言葉に置き換えず
作品として想いを昇華していくということを
久しぶりに思い出した

どのシーンを思い返しても
全てに意味があるような気がして
詩的ですごく美しい

刺繍をする手の動き
一筆で生きてくる皮膚の質感
消える、燃える、走るシーン
暖炉の前で裸になって2枚のキャンバスと一緒に身体も乾かす
戸棚にそのまんまパンとチーズが入ってるの取り出して食べるのとか
小さいグラスに注ぐワインとかの
細やかなシーンもとても好き

観た直後より
時間が経ってからじわじわと響いてくる
味わい深い映画だなって思う
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