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燃ゆる女の肖像のNのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
5.0
女性達の箱庭的島が舞台。登場人物もほぼ3人の構成、なのに背後に男性達の存在がくっきりと浮かんでくる。
外の世界と遮断された箱庭は楽園的で刹那的だ。
画角、ロケーション、衣装、絵画的で観ているとすごく絵が描きたくなった。あえて2人ではなく3人をメインキャストにしたのには深い意味があるのかもしれないけれど、ただ単に画面を美しくするために、という理由は絶対にあると思う。やはり奇数のバランスの良さよ。

観察は愛情。ということを描いていて、レディーバードでのシスターの言葉を思い出させる。
顔のアップが象徴的に映し出される。肖像画と生身の表情の対比や、それぞれの視線など、セリフではなく映像で感情を表していた。
エロイーズが映し出された時はマリアンヌの気持ちに、マリアンヌが映し出された時はエロイーズの気持ちに。
振り返ることが愛の表現だと、躊躇わずに振り返るマリアンヌに涙した。なんと美しいラストよ。
久々に映画館で観なかったことを後悔する映画でした。
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