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燃ゆる女の肖像のkahn0nのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.8
圧巻の一本でした。
特に派手な演出はなく、ゆったりとした時間が流れる北欧映画を観ている様な流れでした。
しかしながら、その閉じ込められた時間にはたくさんの伏線が散りばめられており目を離せないのが現実です。

最初は、ただの結婚をするお嬢様とその女性を描く画家のストーリーくらいにしか思わずストーリーの方向性が序盤は見えにくいですが、これはエロイーズとマリアンヌの愛の物語。

印象的なのはやはりギリシア神話の異論です。
この場面では、エロイーズとマリアンヌの愛についての考え方を表象しているような気がします。
エロイーズは現実を大切にしマリアンヌは思い出を大切にしているのが読み取れこれがラストシーンにも繋がってきます。

2人にしかわからない感情と表情の関係、視線、音楽、モチーフどれもこれも美しく儚く最高でした。

この映画には、男性がほとんど出てこないのも「女」の物語という感じでした。

久日ぶりに涙が出るほど素敵な作品でした。
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