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燃ゆる女の肖像のsimaoのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.2
私が今まで観た女性同性愛をテーマに描いた作品の中で、最も印象に残った作品でした。それほど強烈に心惹かれた作品です。
セリーヌ·シアマが監督脚本をした今作。この人の作品は、ぼくの名前はズッキーニしか観た事ないんですが、それだけでいかに優れた脚本を作る方なのか、理解するには十分なほど記憶に残っている作品でした。
セリーヌ·シアマ自身がレズビアンということもあり、レズビアンをテーマにした作品をいくつか手掛けているようで、この作品もその流れを汲んでいるようです。
また、メインキャストのアデル·エネルは元パートナーであり、脚本も彼女に寄せて書いたらしいので、当時の想いが強く投影された映画なのではないでしょうか?

今作は絵、炎、見つめ合う、18C男性社会などのキーワードが含まれていますが、それらを主張しすぎず、美しい描写の中に散りばめ、視聴者に多様な理解を与える役割を果たしています。
それだけでこの作品が傑作であることが推し量れますが、なにより衝撃的なものがラストシーンでした。
話の冒頭に繋がっていくラストシーンなのですが、そこから思い描かれる話の顛末がとても切ない。良い風に解釈することもできるが、恐らく苦悩の顛末が一番素直でしょう。
それによって、よりこの作品の深みが増しています。
間違いなく傑作として推せますね。
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