il

燃ゆる女の肖像のilのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
3.4

"素晴らしいとしか言えない"

デリケートな話題に言及する事になるし、
実際そっち方面の映画としても評価されているのだろう。

かといって、
そこを無視して語ることはできないし、
自分の性別がストレートな男性である以上、
共感、理解というものが、
女性、女性性とは確実に違ってしまっている。

とはいえ、この映画を主義主張の為のツールとして語るのは違うと思うし、
ほんと、だからもう、
素晴らしいとしか言えない。のである。

という前置きを含めた上で、
映画としての感想を書きます。

19.20年らへんこの手の話題が盛んに取り上げられていた記憶があるので、時世的にもばっちりハマった温故知新悲恋モノ。

とにかく映像美。画角。
序盤の暖炉の前で全裸で煙草を吸うシーン、
モデルの座る椅子のとこ、
階段、食事、あらゆるシーンが絵画のように美しい。

うだうだ語らずばっつんばっつん展開するプロット。なのになだらかに進行していく中の、
女性、マイノリティの生きづらさ。
男の野暮ったさ。
友情、愛情、葛藤、苦しみ、幸福。
生活様式。自然。歴史。
エモさ満点の伏線回収。
"詩人である事を選択"した結末。

俳優たちの目の演技。

見所は多いし、
傑作なのは間違いない。
素晴らしさだけが残る。
il

il