燃ゆる女の肖像のシノのネタバレレビュー・内容・結末

男性は重要な役としてほぼ出てこずめちゃくちゃモブなんだけど、権力としての存在がとても強く発揮しててムカついた。男側が肖像画を見て選ぶのが当然であったり、冒頭マリアンヌを島に運ぶ船渡しのぶっきらぼうさや、マリアンヌが描いた絵を自分名義で出す父など。

メイドであるソフィの懐妊も誰が父親か？みたいな部分には全く触れず、それが当然であるかのように堕胎を選ぶ(選ばざるを得ないのかもしれないが)。術後にシーンを飛ばさずしっかり苦痛を伴う術中を描いているのを観るの、「ザ・トライヴ」以来かも。
マリアンヌとエロイーズが付き添って身分立場が違っても連帯していて良かったなあと思ったけど、それならなんで辛さを思い出させるようなリプレイをして絵を描いたんだろう…ソフィが自ら「描いて」って言ったわけでもないのに。

観てる間「アンモナイトの目覚め」と似た映画だと思った、抑圧されてて、それが当然の時代。今がそうじゃないかっつったら微妙な所ではあるけど。
「見る(視る)」が意味をもつ映画だからこそ最後エロイーズが「見まい」としたことがとても美しいな、と。最後の最後でこっちを見てくれるんじゃないかと思ったけど見てくれなかった、マリアンヌの気持ちを追体験してる気分。

セリフもBGMも笑顔も少ない映画で、だからこそとてもリアルだと思いました。ニコニコしていなくてもメイクをしていなくてもずっと「女性」なんだよ、私たち。

ただこの映画を「美しい」と思ってしまう事は「"同性愛"で結ばれない運命であるから」美しいと思っていないか？とアンビバレントな気持ちになる。自身はシスヘテロ女性なので、消費をしたくはないけど、ここらへんはまだうまく言語化できません。