ひゅうどんこ

燃ゆる女の肖像のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.0
仏🇫🇷原題 :『Portrait de la jeune fille en feu』


 審美眼が成熟していない私にはまだ早かったのかもしれない。そう思いつつ観進めた。

伯爵令嬢 エロイーズが登場するまでの導入部でグイと引き寄せられる。

そこから淡々と淡々と話は流れ、ややざわめきを残しつつ映画は終わってしまった。
。。。。。

 やはり失敗だった、ネタバレ読んでなくて。

私は徹底的にネタバレを読んでから鑑賞に臨むことが殆んど。
自分にとっては、1回こっきりの驚きなんてどうでもいい。
それよりも、生きてゆく中で繰り返し何度も観たくなる、そんな映画をみすみす見落としてしまうことの方が恐ろしい。
一生のうち自分が観れる映画なんてたかが知れてるのだから。。
(そう思わない方のほうが多いでしょう。あくまで私が思い込んでるだけですのでね。)


 二度三度観返して良かった。
初見で分からなかった訳が解かった。
それは巧妙なトリックなどではなく、そもそもの視点が男用ではないのだ。
赤は赤に、緑は緑に見えることは同じなのに、そこから先に見えるものや感じ方はまるで違う。

女性フィルマユーザーさん達のたくさんのレビューに触れ、女になりきって見てみたら、、、男では捉えきれない感情の行き交いに溢れてるのが少しずつ見えてきた。

あっこの瞬間に表情が変わった!とか、あっ気持ちの堰がここで切れたんだ!、などと何度目かで理解出来た。
観察することにかけて、女性の方が遥かに上だなとあらためて思わされた。

時代が変わっても、女も男もいた方がいいと思う。
しかしこと本作に至っては、画面上に男は要らない。
運び屋の男が映っただけで、げっ、となった。何故だろう。


 エンドクレジットまでのラスト2分25秒、10回位はみた。

アデル・エネルの演じる姿は10日間、いや一生分のマリアンヌとの思い出を、ヴィヴァルディの Storm にのせて豊かに表わす。素晴らしい。
こんな素晴らしい役者が、映画界を引退してしまったことは実に残念だ。

Mari Samuelsen: Vivaldi - "Summer" from Four Seasons
https://youtu.be/g65oWFMSoK0?si=Sf2FZFR3tPqEM4t_ (10:51)
お急ぎ Storm お求めの方は8:12からどうぞ🫴

ちなみに、劇中に夏の描写は一切ない。


 人生をそれなりの歳月重ねてきても、未だ分からぬ女性というものに少し触れることが出来た気がする本作は、貴重な人生経験ともなった。

参考にさせていただいたレビューをMark!された沢山の女性ユーザー様、そして本作を観る後押しをしてくださったフォロワーさんに感謝申し上げます。