デブチンバラ

燃ゆる女の肖像のデブチンバラのネタバレレビュー・内容・結末

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

恋愛が不自由だった時代、特に同性の恋愛はタブーとされていた時代の話。そんな時代だけれども人を恋することに理由などいらない。だって好きになってしまったんだから。理由はただそれだけだ。この映画からそれが伝わってきた。貴族の娘・エロイーズと画家のマリアンヌの二人がベッドで横になりながら、お互いを見つめ合い、いつキスしたいかと思ったのかを尋ね合う場面、忘却の彼方に置き忘れてきた”ときめき”という言葉を呼び戻してくれた。ラスト、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「四季」より「夏」の弦の音が高らかに鳴り響く中、マリアンヌが向けた視線の先、エロイーズの横顔を写し出す。エロイーズは劇を観ながら(あるいは音楽を聴きながらか)泣き笑う。それは、劇か音楽に集中しているかのように見えながら、マリアンヌの方には絶対に振り向かないという強い意志が感じられる。もし振り向いてしまったら、心が掻き乱され取り返しのつかないことになるのがわかっているからだろう。胸を焦がす切ないエンディングだ。
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