空海花

ポルトガル、夏の終わりの空海花のレビュー・感想・評価

ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)
3.5
ポルトガルの避暑地シントラ。
欧州を代表する名女優フランキーは
海や森に囲まれ、世界遺産にも認定されたこの町に、家族や友人を呼び寄せる。夫、元夫、息子、義理の娘の家族、年下の友人…
主演イザベル・ユペールとタッグを組んだのは監督アイラ・サックス。

真っ白なオープニングクレジット
シントラの美しい景色の始まりに息を飲む。
別荘地の青いプール、そして麗しきユペール様。青い布を敷き佇む。
登場人物が多く、群像会話劇と構えるが
どちらでもあるが、とてもさり気ない作りで
景色やファッションにうっとりする余裕があることに安堵する。

何気ない夏の終わりのバカンスを装いつつ、重大な知らせを控えているフランキー。
密かに最愛の人々の人生を少しだけ演出しようと仕組んだ集まりだった。
「後で頂上で」
が、私たちはその知らせをその前に徐々に知らされる。

夫はブレンダン・グリーソン
仕事仲間で友人のマリサ・トメイ
この二人が夫で、長年の友人というキャストも素敵すぎる。
ユペールとマリサ・トメイのファッションが美しく、紫のスカーフと深紅のリボンが印象的で。
ひとりシューベルトを曳くユペールに寄り添うブレンダンのシーンが心に迫る。

“探す前に発見せよ”
小高い山の頂に招待客が集まる。
いくつかの視点と
俯瞰のワンカット。
この視点は人のものとは思えず
重大な知らせもほんのひとときのことのように、ピアノの旋律と共に胸に染み入る。

エンディングもピアノと思いきや
意外に静かなオーケストラ。
フルートのような笛の音が響く。


2021レビュー#193
2021鑑賞No.423


冬の始めにようやっとレビュー❄
空海花

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