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名もなき生涯のcookieのネタバレレビュー・内容・結末

名もなき生涯(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

これが実話だなんて悲しすぎる😭
第2次世界大戦時、命をかけてヒトラーへの忠誠の拒否を貫いたオーストリア人農夫の半生を描いている🇦🇹

「ハクソーリッジ」では良心的兵役拒否でも衛生兵という選択肢があったけれど、フランツのその希望は無視されてしまう。

静かに深いところで夫を支える妻が、フランツにとっての救いになっている。
今だからわかるが、最後の面会で妻が逆のことを言っていたらと考えただけで(二人の関係性では絶対にそんなことはあり得ないが)、フランツが不憫すぎてゾッとする。彼の信念はもう揺らぐはずがないのだから。
フランツの信心深さは妻に感化されたからだということを知ると、彼の母が嫁に向けていた視線の意味も理解できる。

大勢に流され本質から逃げている人々の中にあって、僅かではあるが嫌がらせを受ける家族に裏で手を差し伸べる姿も見えた。自分はせめてそういう存在でありたいと思う。

鐘の音の知らせ🔔
フランツは本当は1ミリも悪くなかった。愛する家族のことを守れなかったと言われるが、疎外する人々がいるからだということ。皆がフランツのようでいられる世界であれば戦争は避けられるはずなのに...😓
「沈黙 -サイレンス-」にも似たジレンマだが、本作は個人というよりは宗教を超えた「人間の尊厳」について訴えかけていると感じた。
今突きつけられている問題でもある。

調べたところ、後年になってフランツの生き方が書籍で知られることとなり、名誉を回復できたのは良かったが、ベルリン地方裁判所で死刑判決が取り消されるまでには54年もかかったという。
2007年に行われた彼の列福式を妻や娘たちが目にすることができたのは何よりだった✝️

セリフが少なく淡々と描かれる3時間を冗長に感じるかもしれないが、観た後に色々と考えさせられる部分が多かった。

重苦しいシーンが多い分、山村の自然とそこで育まれる家族愛の美しい映像が印象に残る。国は違うけれど、その自然美に「アーニャはきっと来る」を思い出した🏞️
ロケ地:https://nicoraiss.blog.jp/archives/81900877.html
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