ジェイコブ

バクラウ 地図から消された村のジェイコブのレビュー・感想・評価

3.9
ここはブラジルのバクラウ。サボテン平原に囲まれた荒野に佇む辺境の村には、警察や軍隊、役所もなく、村人達は地元のギャングと協力しながら自治を行っていた。バクラウ出身のテレサは、村の長老カルメリータの死をきっかけに村へ戻る。その日を境に、ネット上の地図からバクラウは姿を消し、村外れの農場では一家全員が皆殺しにされるなど、奇怪な現象が起こるようになった。そんな中、村に二人の来訪者が現れる……。
ブラジル産ミステリー映画。辺境の村という、閉鎖的な土地だからこそ醸し出される独特な雰囲気が、後半巻き起こる惨劇を大いに盛り上げており、ひぐらしのなく頃にやミッドサマーにも通じるものがある。
後半にかけての武装集団への村人達の復讐劇は、正に血で血を洗う血の報酬。ラストの悪徳政治家への報復も、裸でロバに乗せてサボテン平原を走らせるという西部劇の処刑そのものなのが面白い。まさか現代の映画でこんなアナログな処刑が見られるとは……と少し感動する気持ちすら芽生えた笑
村を襲った連中の素性は、村の土地を狙う悪徳政治家に雇われた以外は明らかとなっていない(随所でスーパーの人事担当であるとか、刑務官であるなど、プロではない雇われ兵士という事は会話の中で読み取れるが)。それ故に、もう少し連中について深堀りしてほしかったのが正直なところ。しかし、130分という少し長めな尺でありながらも、前半は村の抱える事情や人々の様子を徹底して描き、アクションや惨劇を後半に持ち越したことで物語に緩急がつけられ、最後まで時間を忘れて見ることができた。