Maoryu002

しあわせの百貨店へようこそのMaoryu002のレビュー・感想・評価

4.6
1959年、高校卒業前のリサ(アンガーリー・ライス)は百貨店のドレス売り場でアルバイトを始める。そこでヨーロッパから来たマグダ(ジュリア・オーモンド)、悩める人妻パティ(アリソン・マクガー)、男運のないフェイ(レイチェル・テイラー)といった女性たちに刺激され、リサは大人へと成長していく。

「ドライビング Miss デイジー」のブルース・ベレスフォード監督らしい、優しく穏やかな映画。

まだオペラハウスのないシドニーの古き良き街並みと雑踏、海と山の美しい風景を見ているだけで胸が躍る。
悪人は一人も登場しないし、大事件も悲劇も起きないのだが、この雰囲気が大好き!
久しぶりに、のんびりと優しい気持ちで最後まで観られる作品だった。

物語はリサの見た目の変化と精神的な成長を中心に進むんだけど、マグダ、パティ、フェイと、様々な人々の日常を映す群像劇でもある。
主役はこの時代にやっと自由を得始めた女性たちと言っていいだろう。

妻としての苦悩や、母親の悩みが描かれ、特にヨーロッパから来て嫌われながらも力強く前に進もうとするマグダが印象的だ。
かつて「サブリナ」でヒロインだったジュリア・オーモンドが、レナ・オリンやジュリエット・ビノシュばりの貫禄を見せてくれる。

落ち着いてみると、パティ夫婦の行動は不自然だし、パパは意外なほど物分かりがいいし、ストーリーに安易さは感じるんだけど、ヨーロッパを逃れてきた大陸人たちの高慢さと苦悩を知ることができたし、オーストラリア人たちの閉鎖的で横柄な態度との対比も面白かった。

そして、やはりこの映画の盛り上がりどころはアンガーリー・ライスが眼鏡をはずして変身するところだろう。野暮ったい少女からめちゃ可愛くなる!
「エブリデイ」も良かったけど、この映画のアンガーリー・ライスは最高だ。あの無邪気な笑顔に完全にやられた。

この映画の世界に生きてみたかったなー。
Maoryu002

Maoryu002