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キーパー ある兵士の奇跡の福福吉吉のレビュー・感想・評価

キーパー ある兵士の奇跡(2018年製作の映画)
3.5
第二次世界大戦中、イギリスの捕虜となったドイツ兵のバート・トラウトマン(ダフィット・クロス)は収容所の地元のサッカーチームのキーパーにスカウトされる。ドイツ兵の捕虜が帰国する中、バートは引き続き地元のサッカー・チームでキーパーを続ける。やがて、彼の活躍は名門チームの目に留まり、入団するもドイツ人の起用に対して国内の批判は高く...。

バート・トラウトマン選手の実話に基づいた作品であり、戦中から戦後のドイツ人への憎悪が収まらない中で選手として活躍するまでの過酷な道のりを丁寧に描いています。

ナチス・ドイツの行った行為がドイツ人に全て憎悪の形で帰ってくる時勢の中、バートは精神的にタフで自分自身のスタイルを持っていて、それを崩さない姿が印象的でした。ちょっとした隙に煙草を盗んだりして小憎らしいところが良かったです。バートは収容所で地元サッカーチームの監督の娘のマーガレット(フレイア・メイヴァー)に出会うのですが、バートが所々でマーガレットを意識している感じがして、面白かった。

マーガレットは、最初は父のドイツ人の起用に反対し、ドイツ人を憎悪していましたが、時間が経って接する機会が増えるうちに親密になっていきます。国で付き合うと憎しみしか生まれないが、人として付き合うことで分かり合えることがあることをよく示していました。

バートが名門チームに入団後、国を挙げての非難の的になるのですが、このシーンがあまり長く描かれていないので、観ていてストレスを感じるほどでは無かったと思います。実際にはもっとキツイ状況だったのではないかと思いました。

作品として重さを抑えて観やすくなっていて、これが良いかどうか評価の分かれるところかなと思います。個人的にはもっとシビアに描いても良かった気がします。
それでも観ていて満足を得られる作品でしたし、観て良かったと思います。

鑑賞日:2023年5月30日
鑑賞方法:U-NEXT
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