ちろる

ブリット=マリーの幸せなひとりだちのちろるのレビュー・感想・評価

3.5
舞台はスウェーデン。
40年間専業主婦として夫を支え続けたブリッド=マリーはある時、職場から旦那が病院にら運ばれたことを聞き、病院に駆け込むとそこには夫ケントに愛人がいたことを知る。
逃げ場がなく黙り込むケント。
かくしてブリッド=マリーは2人の愛の巣から飛び出した。

といっても60過ぎた仕事未経験の女を雇う場所もなく、職安で唯一紹介された、遠い田舎町のユースセンターの仕事を始めることにする。
しかし蓋を開けてみたらこの仕事、こどもたちのサッカーのコーチ。
全くルールを知らないところから、この場所に居座るために無理やり覚えて頑張る。

そして、彼女を待っていたのは自由で活発な子供たちだった。

前任者の娘バンクは弱視だが優秀なサッカー選手。
少女ヴェガは「サッカーが全て」だと言い、彼女の兄サミは働きながら彼女を支えている。
こういう物語って、主人公がやってきて絆が深まって、そしたらみるみるうちにサッカーが上手くなっていくような分かりやすいものではなく、子どもたちは下手くそなまま一切成長せず、このビターな展開もさすが北欧映画、こういう描き方するなんて容赦ないなと思ってしまうけど、努力してもどうしようもできないことを学ばせるのもある意味人生の勉強

もっと、子どもたちとブリッド=マリーの交流を見ていたかったのに、彼女がこの田舎町にいるのはとても短くて、ここを去るまでの期間一二か月くらいかな?
せっかく打ち解けて居場所を見つけたのにもったいないと思ってしまった。

ともあれ、子どもの頃の出来事がきっかけで自分の人生を自ら縛り付けてきたヒロインが60過ぎて家出をして、本当の意味で人生を自分のものにしていく姿は清々しく、人生いつからでもデビューすることができるのだとブリッド=マリーに教えられた気がしました。
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