アベラヒデノブ0阿部羅秀伸

レ・ミゼラブルのアベラヒデノブ0阿部羅秀伸のレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
4.4
『友よ、よく覚えておけ。
悪い草も悪い人間もない。
育てる者が悪いだけだ。』

苦しい。性善説。

大人と子供。
人種と宗教。
育った環境によって芯まで刻み込まれたバイアスは、永久に修繕不可なのか。

些細なイタズラをきっかけに、平凡な少年が悪魔に育っていく過程を。
幼きジョーカー誕生物語。
(そんな簡単な言葉で片付けられない。誰も悪人がいない。住人たちの呼吸と生活を丁寧に描き切っている。)

フィクションとは思えない。
何というリアリティーと臨場感。
この街を僕は歩くことができるだろうか。
警察が現れるたびに逃げ回る子供たち。
大人は、大人の怖さを、忘れてしまいがちだ。
大人の冗談は、子供にとって冗談じゃないことが多い。
説教と憤怒の違いをしっかり見極めるべきだ。
気をつけねば、憎しみは小さな傷口からウジのように湧いてくる。