このレビューはネタバレを含みます
それぞれが必死に生きている
たとえそれがいけないことと分かっていても
そうすることでしか生き抜けない
そんな想いが観ている間じゅう頭の中を巡り
フランスを訪れたことがない者にとって
テレビや雑誌で紹介されるお洒落で小粋なイメージが強く
この映画の舞台モンフェルメイユの、まさに人種の坩堝…なかでもアフリカ系の多さにいきなり衝撃を受け
ここはイスラム国かと見紛うような風景のなか
変わらないのは強かな子供たちの姿
物語のキーとなるアイテム…
ドローン、スマホにSNS
移民や貧困層の子どもと言えど、そこはフランスの現代っ子…
異動してきた刑事ステファンの感じた驚きや違和感、
そこからの自分の信念に基づく行動
彼と一緒に"人生最悪な一日"を体験していく
ステファン曰く"無能な"BACの二人…
やりすぎなクリス
同胞である少年イッサをゴム弾で撃ってしまったグワダ
彼らにもそれぞれの事情があり、
その感情の機微を掬いとる描写にも考えさせられる
ジャン・バルジャンは
貧しい姉の子のために一本のパンを盗み
そこから長い牢獄での生活
仮釈放からの逃亡
革命への参加
彼の正義に従って必死に生きた
ミゼラブル=無情
ほんとうにそうなのか
ステファンの正義はどこまで耐えられるのか
イッサは火炎瓶を投げるのを止まることができたのか
あのラストほど心を抉られるものはない…
エンドロールにそっと
"本家"LES MISERABLESのユゴーの一節が
友よ
よく覚えておきなさい
悪い草も悪い人間もない
育てる者が悪いだけだ