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家族を想うときのkogureawesomeのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.5
過去鑑賞

過労死はイギリスにもあった。
この映画は欠勤したら制裁金を請求され、病院に通えず、53歳で亡くなった英ドライバーの実話を元にしている。ブラック企業。イギリスの非正規雇用の話。

自己責任と言う台詞が出てきた。
これは翻訳の話かもしれないけれど、日本だったら言われそうな言葉だと思った。
でも、私は思う。原因はあるかもしれないが、責任は無い。
「原因」は、ある結果を引き起こすもとになるもので、「責任」は、人や団体が、なすべき務めとして、自身に引き受けなければならないもの、もしくは責め。
原因と責任は、重なりあうことが多いため、しばしば混同してしまう。
しかし、原因はあるが、責任はないという状況も数多くある。

監督のケン・ローチは現代イギリス最大の巨匠。
ワーキング・クラスの人々を常に主人公にしている。
1968年に『夜空に星のあるように(poor cow)』でデビュー。以来、少年と鷹の交流を描いた『ケス』、工事現場で働らく若者の青春を描いた『リフ・ラフ』、石が降ってくるように辛い生活を描いた『レイニング・ストーン』などが印象に残っている。
ただ、あんまりにもテーマ性が強いし、観た後にぐったりするので、たくさんは観ていない。

ケン・ローチをリスペクトする人は多い。
例えば下記の通り。
「私はケン・ローチが大好きです。彼は私達の時代における最も優れた語り手です。独特のユーモア、リアリズム、優しさ、そして繊細さをもってローチは日常生活の痛みや悲しみを表現し、同時に人々の暖かい関係を描こうとするのです」アニエス・ベー
「俺は何かにぶつかった時、いつも『ケス』を思い出す」ノエル・ギャラガー
「『ケス』は自分に最も影響を与えた60年代の映画だ」モリッシー
「影響を受けているといえば、監督になってから出会った侯孝賢とかケン・ローチ、ダルデンヌ兄弟、イ・チャンドン、年下だけどジャ・ジャンクーとか、同時代で果敢な作品を作っている監督たちでしょうか」是枝裕和
「救いのない人々、声なき人々を代弁している。映画を観終わった後に思う。『近所の誰かの話みたいだった』と」ガブリエル・バーン
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