めんま

家族を想うときのめんまのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
5.0
"わたしは、ダニエル・ブレイク"のケンローチ監督作品。

借金を抱え、転職を繰り返す夫、以前住んでいたマイホームと以前の家族との生活を取り戻す為に、配送業(自営、形式上フランチャイズ)で再起を図るところから始まる。

非常に家族の描写や仕事のブラックさなど、リアルすぎて、怖いくらいでした。日本もイギリスも、人の本質は変わらないということ。

本当に、この監督は、表現が繊細。そして、本質的。考えさせられる。家族のあり方、自分の行いを見つめ直すいいきっかけの映画だと思う。

綺麗事を並べる作品ではないけれど、これだけ現実的な描写で、観客へ訴え方としても強烈だ。終わり方も、これはこれで非常に良い。

見ていて本当に辛かった。自分の家族にも重ねてしまう。

自分の心にも自問自答の念に駆られる。お前はやることやってんのかって。

私も家族に問題あります。どうなるかわかりません。

この家族は、借金だけじゃなくそれぞれ問題を抱えてる。それもまた、現実的な話し。他人事ではない。

日本でも、住宅や車など誰だってローンなども含め借金を1円も抱えてない人も珍しくない。この映画は、誰にとっても明日は我が身になるかもしれない。

大なり小なり家族との問題だって抱えてるかもしれない。
事業が、会社が立ち行かなくなるかもしれない。
家族との問題が悪化するかもしれない。

そんな、どこにでも、誰にでも起こりうる日常だと感じました。

本当に、母親には頭が上がらない、と思う。

仕事もして、夫のサポートもして、家事もして、家族の面倒を見て、1番大変だろう。

この映画の父親、救われたのだろうか。

この家族、どうなったのだろうか。

きっと、答え合わせは自分の生活でしてくれってことだと監督が言ってる気がしてなりません。

根底としてイギリスの社会保障制度や労基法、会社の契約書やばくね?ってのも訴えてると思います。

一つ仕事に失敗したくらいで、こんなんならないような、社会の仕組みになって欲しいと願います。

ある意味、監督の皮肉なのかな。

ただし、労働や金銭の問題なども、大体どの国も問題を抱えてるから、結局は、自助努力が必要なのだ。

上映館が少なくて残念ですが、とても良作です。

日常を描く映画は、とても退屈して途中から飽きる(面白くない)か、ついつい見入ったまま終わってしまう(面白い)の本当に真っ二つです私は…。ケンローチ監督は圧倒的に後者。素晴らしい。
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