無何有郷

家族を想うときの無何有郷のレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
5.0
観賞後の私の胸の内に沸沸と湧き上がる、竹中平蔵への怒りと来る確定申告の恐怖......次々とやってくる理不尽にすべて自己責任で乗り越えていかねばならない、この手の自営業の弱さを痛感し胸がちぎれそう。その理不尽への怒りはブルジョワジーに向かうことはなく、弱者同士で殴り合いをさせられる、そういうふうにできている。

「パラサイト」と同じ家族構成だが、あの映画にはなかった家庭内不和がこの映画にあるのがよい、というかリアル。でもただの悲劇でなく、日常の隙間にある幸せといえるような瞬間が描かれているのがケンローチの好きなところ。警官の驚くほど胸に響かないお説教とか、「自分の母だと思って介護してる」とか、細かいけど良いシーンがたくさんある。
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