【ワーカホリック戯画】
カンヌ常連ながら、日本ではイマイチ知名度が高くないジェシカ・ハウスナーコンペ選出作。
ワーカホリック組織が目標にだけ向いてしまう様を戯画として描いた作品。清潔感漂う研究所にモダンな家具を置いていく姿、ワーカホリックたちが花粉を吸うとその花のことしか考えられなくなる様は、amazon、netflixをはじめとした大手企業を風刺しているようにも見える。常時流れるモスキートーンっぽい音の狭間から、雅楽の音色が滲み出てスピリチュアル感を出すのはAppleってことか?
一見、清潔潔白でありながら、実情は労働時間が非常に長く、会社の目標達成しか考えられなくなっていき、周囲が提示する違和感に攻撃的となる。
『ボディ・スナッチャー』はロメロ派ゾンビ映画同様、その時代その時代の社会問題にコミットしていく。『LITTLE JOE』はまさしく、2010年代の『ボディ・スナッチャー』になろうとした。
しかしながら、いかんせんヴィジュアルでゴリ押す癖があるらしいジェシカ・ハウスナーの問題提起と映画的物語のプロセスは陳腐で、意外性から来る興奮が少なかったので、叩かれやすいアート映画の域を出られなかったかなと思う。