最近、ドランは人の意見を聞いてしまいがちなのかな?と少々思ってしまった作品。だけれど、やはり彼の天才的な映画の作りには脱帽してしまう。
グザヴィエ・ドラン監督が長年かけて、何度もブラッシュアップしている同性愛者の話が今回も主題。そしてそこに付随する母と子の話も例に漏れず今回も描かれている。
が、今回はドランにしてはあまりに平凡でなんとも言えない感覚にさせられる。
顕著だったシーンが、マティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタスさん)がマキシム(グザヴィエ・ドランさん)とキスをしたあと恋心に気付き戸惑う。そのところで湖を泳ぎ切る。そのシーンが繊細さに欠けて、ドラン作品を求める自分としては頭にクエスチョンマークが出てしまった。
少々最近のドランはアドバイスを聞き過ぎて平凡になってきてしまっているかもしれない。
ただ、そう上記で思いつつ、気まずさ、内なる心情が暴き出す視線の使い方はピカイチだし、本心を隠した会話も秀逸。
そして、やはりドランといえばラブシーン。今回のキスシーンも食い入るように見てしまった。カメラワークが美しくて、雨を使った雑音も素晴らしい。こちらまでドキドキしてしまう。
少々残念な点はあれど、ドランの素晴らしさをやはり感じてしまう作品だった。
cc/その瞬間、恋に変わった。